悪ノ人生‐ミチ− 第五話 Carry Through My Convictions.


リンアン:ri    灯世

レオン:re    加々美由亜


ガクト:ga   吉沢在玉


ルナ :ru     りった

アシュレイ:as  白黒  

メイリー:me    おもめ


ゼロ:ze        うたつき

反乱軍の男a:a 謎の使者 

 

 


ru01 : レオン…

re01 : ルナさん、ガクトさん…

ga01 : 王女は…

re02 : 部屋にいます。今は誰も声をかけない方が良いかと…
          食事にも手をつけないで、ずっと塞ぎ込んでますから…

ga02 : …レオンは大丈夫か?

re03 : なんとか…王女を見たら、逆に冷静になって…

ru02 : レオン、泣いても、良いのよ?

re04 : …それは、出来ない。俺は、王女を支えなきゃいけないから…

ru03 : レオン…

re05 : サリーは、王女にとって、一番近い存在だったんです。
           親友であり、姉であり、…だから、暫くそっとしてやってください。

ru04 : ええ、分かったわ。

re06 : それじゃあ、俺はちょっと外に出てきます。

ga03 : どこに行くんだ?

re07 : 外の空気を吸ってくるだけです。
          大丈夫、俺はまだ、冷静ですから。

 


SE01  去って行く足音

 


ru05 : 着いて行かなくて大丈夫かしら?

ga04 : …着いて行けなかった…誰も寄せ付けない、そんなオーラ出して…
           あんなレオン見るのは初めてだな。

ru06 : 王女も、あんな王女見るの初めてよ。
           王女の顔から笑顔が消えてたわ…

ga05 : 辛いだろうな…目の前で自分を庇って刺されたなんて…

ru07 : 私達には何も出来ないのかしら…

ga06 : …いや、出来るさ。

ru08 : え?

ga07 : 王女の味方であり続けること。
            どんなことがあろうと、王女を信じること。
            何があっても、王女を想い続けること。
           俺達にはきっとそれくらいしか出来ないだろうけど、何があろうと変わらない。
           王女が変わっても、俺達が変わらなければ良い。

ru09 : ガクトさん…

ga08 : 大丈夫だ、すぐに元気になるさ。
           俺達の王女、リンアン様だからな。

ru10 : …そうですわね…

ga09 : ルナ…

ru11 : はい?

ga10 : サリーの墓に…あいつの好きなおやつをたくさん持って行こう。

ru12 : …はい。

ga11 : きっとサリーも、変わってない。何も…

 

 

M01  OP

 

 

re08 : 悪ノ人生、第五話、

as00 : Carry Through My Convictions.

 

 


me01 : そう…分かったわ、報告ありがとう。もう下がって良いわよ。

a01 : はい、失礼します。

me02 : あ、また、何かあったら随時報告して頂戴。

a02 : かしこまりました!

 

SE02  扉の開閉音

 

ze01 : メイリー、少し良いか?

me03 : ゼロ。どうかしたの?

ze02 : アッシュを見なかったか?

me04 : アッシュ?また何かやらかしたの?

ze03 : いや、もうすぐ鍛錬の時間なんだが、見えなくてな。

me05 : また街にでも行ってるんじゃないの?そのうち戻ってくるわよ。

ze04 : …はぁ。

me06 : それより、ニュースよ。
             城で事件が起きたみたい。

ze05 : 事件?

me07 : スラム街の人間が捕えられたって。

ze06 : 理由は?

me08 : どうも、城の人間を刺したらしいわ。

ze07 : 刺した…?

me09 : 詳しい情報はまだ無いんだけど、それで城の人間が一人亡くなったみたいで…

ze08 : そうか…

me10 : 諜報部隊にまた詳しいとこは探り入れさせてるけれど…近々、何か起きそうね。

ze09 : 城に動きがあったなら、そうだろうな…

me11 : 城の元傭兵として、どう思う?今回の件。

ze10 : …確実に言えるのは、城の警備が手薄になってるな。
           城の人間が刺されるなんてことあって良いはずがない。

me12 : そうね…

ze11 : 城の人間か…ひとつ、確認したいんだが、

me13 : 何?

ze12 : その刺された人間は…お前の、…姉か?

me14 : 違うわ。

ze13 : そうか…良かったな、と言うべきだろうか?

me15 : ふっ、相変わらず、不器用というか、無愛想というか…そこは何も言わなくて良いわよ。

ze14 : そうか…

me16 : それで?アッシュは良いの?

ze15 : …戻ってきてから叱ることにする。

me17 : あまり怒りすぎないでよ?ああやってふらふらしてるけど、
             一応必要な情報はちゃんと集めてきてくれるんだから。

ze16 : 分かってる。だが、何も言わずに出ていくのが問題だと言ってるんだ。

me18 : はいはい。あ、ゼロ、悪いんだけど、私もちょっと出てくるわ。街の様子も気になるし…
             だから、後、頼むわね。

ze17 : …分かった。

 

 

SE03  足音
SE04  扉の開閉音

 


SE05  自然の音

 

 

re09 : この丘も久しぶりだな…小さい頃、よく王女とサリーと遊んだっけ…
           あぁ、そうだ、トレニア先生もたまに一緒になって遊んで…


回想「ごめ、ね…」


re10 : サリー…謝るのは俺の方なのに…
          俺が、俺が…あの時、ちゃんとあの人を説得出来てれば…ちゃんと納得させてれば…


re11 : はぁ…


as01 : あ、おっきい溜息。溜息吐くと幸せ逃げちゃいますよー。


回想「レオーン、溜息ついたら、幸せ逃げちゃうぞー」


re12 : サリーっ、!…え。

as02 : え、サリー?

re13 : え、あ、いや、…あ、この前の…

as03 : やーっぱり、君でしたね!いやー、遠くから見て、もしかすると、なんて思って来てみたんですよ。
           また、お会いしましたね、レオンくん。

re14 : 確か…アシュレイ、サン…

as04 : アッシュで良いですよ。

 

 

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SE06  ジングル

 


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as05 : 良い天気ですねぇ。

re15 : そうですね…

as06 : レオンくんはよくここへ?

re16 : 昔、ここでよく遊んでたんです。

as07 : あ、そうなんですねー。
          んー、良い風ですねー。

re17 : そうですね…

as08 : ここはいつも静かですねー。

re18 : そうですね…

as09 : …レオンくん、何かありましたね?

re19 : そうです、ね…え?

as10 : 物凄く悲しいことがあったって顔してます。

re20 : え、あ…

as11 : ボクもです。ボクも、とても悲しいことがありました。

re21 : そう、なんです、か…

as12 : 今日の夜に食べようと思って大切にとっておいたお菓子を食べられたんです…!!

re22 : は?

as13 : だから、意地でも帰らないって決めたんです!

re23 : え、家出…?

as14 : 家出なんて子供っぽいこと言わないでください!
            これは戦いです。男の意地とプライドをかけた戦いなんです!!

re24 : いや、えっと、あ、…頑張れ?

as15 : はいっ、だから、レオンくんも頑張ってください!
           男の意地とプライドを守るために。

re25 : 俺は、別に家出、じゃなくて、意地とプライドのためにここにいるんじゃ…

as16 : え、違うんですか?
           ボクはてっきり大切にしてたものを取られて怒ってるのかと…

re26 : 大切…ふっ、あながち、間違ってもないですけどね。

as17 : …レオンくん、いくつですか?

re27 : え?14、ですけど…

as18 : あ、ボクの1個下。

re28 : え、1個上?!

as19 : あ、見えないとか言わないでくださいよー。

re29 : すみません、てっきり同じか1,2個下かと…あ、

as20 : いーですよ、どーせ、どーせ、ボクは大人気なくしょっちゅう家出してますよー。
           それで、お腹すいたらすぐに帰るから皆にも家出だと思われない可哀そうな子ですよー。

re30 : あぁ、すみません!!いや、っていうかなんか謝るのもシャクなくらい子供っぽいですけど、
           なんかすみません!!

as21 : …いーですよ、どーせ、どーせ、ボクはレオンくんみたいにしっかりしてませんよー。

re31 : …あ、なんかめんどくさいな、これ。
          なんだ、ガクトさん張りに面倒だ。

as22 : …えい。

re32 : え?痛っ、ひょ、ひゃなひてふだはい!!(離してください、と言いたい)

as23 : あ、ほっぺた伸ばしたら結構子供っぽいですね、レオンくん。

re33 : っひょっよ、!(ちょっと、と言いたい)

as24 : あはは、すみません。

re34 : いたた…

as25 : でも、レオンくん、どーして、そんな顔してるんですか?

re35 : は?

as26 : まだ14なのに、そんな、全部全部背負わなきゃいけないから、
           悲しくても我慢しなきゃいけないんですー、みたいな顔。

re36 : …な、んで…

as27 : あれ、当たっちゃってました?

re37 : …アッシュさん、空気読めない、って言われたことありません?

as28 : あえて空気読まないようにしてますけどねー。
           だって、面倒でしょう?

re38 : でも、空気読まないと嫌われますよ?

as29 : どうして?

re39 : どうしてって…えっと、どうして?

as30 : 空気なんか読んでどうするんですか?
           師匠は言ってました。そんなん読んでる暇があんなら書物読め、って。
           空気なんか読むもんじゃなくて感じるもんなんだ、って。

re40 : 感じる…もの…

as31 : それにね、空気、読んじゃったら…悲しい時、泣かなきゃいけないじゃないですか。

re41 : え…

as32 : 辛い時、泣かなきゃいけないじゃないですか。

re42 : アッシュ、さん…?

as33 : そんなの、面倒ですよ。
            ……なーんて。で、どーして、そんな我慢した顔してるんですかー?

re43 : …俺も今、空気、読んでないだけです。
           空気読まないで、泣かないようにしてるだけ。

as34 : どうして?

re44 : は?

as35 : どうして、泣かないんですか?

re45 : いや、だから、さっきアンタが言ったように…

as36 : ボクは大人だから良いんです。
           でも、君は子供でしょう?

re46 : 違う!!俺は、もう…何でも自分で出来る!大切な人を守ることだって、
           大切なことを決めることだって出来るし、
           誰かに頼ることもない!!

as37 : でも、君はまだ14です。

re47 : アナタと1個しか違わない。

as38 : 1個も違います。

re48 : …でも、俺が泣いたら…

as39 : 誰かが困るんですか?

re49 : …困るというか、悲しむ…

as40 : じゃあ、泣いちゃダメです。

re50 : はぁ?

as41 : 師匠は言ってました。自分のせいで誰かが悲しむようなことはするな、と。

re51 : ちょ、なんかさっきから色々あっちいったりこっちいったりしてんだけど…
           っていうか、前から気になってたんですけど、その師匠って誰ですか?

as42 : 師匠は師匠です。
           ボクに剣と人生を教えてくれた師匠です。

re52 : 剣…出来るんですか?

as43 : これでも結構強いんですよ。
           師匠をこえるくらいに。

re53 : 師匠よりも強いんですか…?

as44 : はい。凄いでしょう?

re54 : くすくす、それ、自分で言ったらなんかもったいないですね。

as45 : そうですかー?

re55 : ……アナタは、泣いたこと、ないんですか?

as46 : え?

re56 : 空気、読んでないんでしょう?
           悲しくても、泣かないんですか?

as47 : 泣いたこと…あると思います?

re57 : 生まれた時、くらいは…

as48 : まぁ、確かに、生まれた時は流石に泣いたでしょうねぇ…
            …一回。

re58 : はい?

as49 : 一回、覚えてる限りで一回、…
           師匠が亡くなった時に。

re59 : あ、そう、なんです、か…

as50 : ボクね、孤児だったんですよ。
            昔あった戦争で、両親亡くして、ふらふらしてたとこを師匠に拾われて、育ててもらったんです。
            だから師匠はボクのお師匠で、ボクのお父さんで、ボクのお母さんで、ボクのお兄ちゃんで、ボクの…ペット?

re60 : え?!

as51 : じょーだんです、じょーだん。

re61 : はぁ…

as52 : それで、ボクが12か13の時かな?
            師匠が、亡くなったんです。いや、殺された、が正しいかな…

re62 : 殺され、た…?

as53 : ボクにね。

re63 : え、

as54 : ボクが師匠を殺した。

re64 : どういう、意味、ですか?

as55 : そのままですよ。
            言ったでしょう?ボクは師匠よりも強い。

re65 : どうして…大切な人、なんでしょ?

as56 : 大切です。誰よりも何よりも。
           この人のために生きて、この人のこと守っていこうと思ってました。

re66 : それじゃあ、どうして!

as57 : 師匠がボクに言ったからです。
           「殺してくれ」って。

re67 : え…

as58 : ボクは天秤に掛けました。
           師匠の命と、師匠の願い。
          それでボクは、師匠の願いを取ったんです。
          それがボクの答え。ボクが出した答え。
          ボクは泣きながら、師匠を刺したのを覚えています。
          感覚も、師匠の最期の言葉も、顔も…

re68 : 泣いたのは…それ、一回…?

as59 : それから先、今まで泣いてません。

re69 : 思い出して、辛かったり、悲しかったりしないんですか?

as60 : ボクは、空気、読まない人ですから。

re70 : …それは、我慢、じゃなくて?

as61 : ……我慢かもしれない。でも、もうそんなのも分からないくらい麻痺してるんです。
           悲しみに対しても、辛さに対しても…

re71 : ……俺も…俺も、大切な人を自分のせいで死なせた…

as62 : …そうですか…

re72 : 絶対に死なないって思ってた人が、目の前で死んだ…
           小さい頃から一緒だった奴が、俺のせいで…
           俺が、俺が、殺した…

as63 : …君が、その人を傷付けたんですか?

re73 : 違う…でも、違わない…
           俺がちゃんと予防できてたことだったはずなのに、…守れなかった。

as64 : ……レオン君、泣きたいですか?

re74 : え…

as65 : 泣きたいなら泣けば良いと思います。

re75 : いや、俺は…泣けない、…まだ、守らなきゃいけないものがあるから…

as66 : それなら、泣いちゃいけないですね。

re76 : 分かってる。

as67 : でも、我慢もよくないですね。
            どうやら君は、すぐ顔に出る性質みたいですから。

re77 : ……それじゃあ、どうすりゃ良い…
          俺は、そんなに…出来た人間じゃない…
          俺は!!大人なんかじゃない!!
          サリ―が死んだのだって、俺のせいだ!
          俺があの女をちゃんと説得出来てればサリ―だって死ななかった!!
          リンを身体を張って守るのは俺の役目なのに!
         俺は、どうすれば良かったんだよ!これからどうすれば良いんだよ!
         リンは、っ、リンは…お前と一緒が一番好きだったのに…!
         なんで死んじまうんだよ、…なんで、っ…サリー、っ…!(怒りから、興奮していき、徐々に悲しみで泣きながら)

 


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as68 : それじゃあ、ボクはそろそろ帰ります。
            お腹すいちゃいましたから。

re78 : …すみませんでした、あんなとこ、見せて…

as69 : いえいえー、あ、レオンくん、

re79 : はい?

as70 : 敬語、いらないですよ?

re80 : それなら、アッシュさんこそ、俺の方が年下なのに、

as71 : あ、ボクのは癖なんで。

re81 : はぁ…そうなんですか…

as72 : さん付けもいらないですし。

re82 : アッシュ…

as73 : はい。
           あ、そうだ。

re83 : ん?

as74 : ボクは君の答えを出せません。
           でも、話を聞くのと、空気読まずに雰囲気ぶち壊すことくらいなら出来るんで、
           必要ならまたここに来てください。
           結構な割合でボク、ここにいるんで。

re84 : ふっ、はは、ぶち壊すって…!
           っていうか、アッシュ、暇人?

as75 : 失礼な!!
           ボクはここを家出場所にしてるだけです!

re85 : あ、腹減ったらすぐに帰るっていう家出な。

as76 : …ボクはね、レオンくんのせいだなんて思わないですよ。

re86 : え、

as77 : よく分からないですけど、君はボクとは違う。
            君は、人を殺せるような人じゃない。
           むしろ、守る側の人間。君は、優しい人ですね。
           …なんて、ただの勘ですけどね!

re87 : …例の、「師匠のお墨付きの勘」ってやつ?

as78 : はい!

re88 : そう。

as79 : それじゃあ、また会いましょうね。

re89 : …また、会える?

as80 : もちろん。

re90 : 勘?

as81 : はい、勘です。

re91 : 俺も、そんな気がする。

as82 : それでは、また、レオンくん。

re92 : またな、アッシュ。

 


SE07  足音

 


re93 : 俺の、せいじゃない…か…

 


SE08  城内・足音

 


ru13 : あら、ガクトさん。

ga12 : お、ルナ。

ru14 : レオンは、帰ってきました?

ga13 : いや…まだみたいだ。

ru15 : どこまで行ったのかしら…

ga14 : 大丈夫さ。すぐに帰ってくる。

ru16 : …サリー…

ga15 : ルナ…

ru17 : はい?

ga16 : 大丈夫か?

ru18 : …私より、王女やレオンの方が付き合いが長い分、悲しさも、

ga17 : ルナもサリ―のことは妹のように可愛がっていただろう。
            付き合いがどうこうじゃない。

ru19 : ガクトさん…

ga18 : 泣きたいのなら、泣いても良いんだ。
           我慢は身体に良くない。

ru20 : でも、あの二人が泣いていないのに、私だけ泣くなんて。

ga19 : 大丈夫だ。何せ、俺は、昨日思いっきり泣いたからな。

ru21 : …ふふっ、ガクトさんが?
          想像つかないわ。

ga20 : 俺だって泣くさ。
            サリ―は俺達の仲間であり、家族だったんだ。

ru22 : そうね…サリ―は誰にとってもかけがえのない子ですものね。

ga21 : ルナ…疲れた顔をしている。
            ずっと王女のことも気遣って、レオンのことも気遣って、サリーの家族のところにも行ったりしてたもんな…

ru23 : 私の疲れなんか、

ga22 : お疲れ。

ru24 : っ、ガクト、さん…

ga23 : サリ―なら、疲れた時には甘いものが一番、とか言うんだろうな。

ru25 : ふふ、お菓子、作りましょうか?

ga24 : それから、散歩に行くのも気分転換、と言ってたな。

ru26 : そうですね…サリーなら…あの子なら、…っ、サリ―、っ!(思い出して、徐々に悲しくなり泣き始め)

ga25 : ルナ…

ru27 : ガクトさんっ、サリ―が、サリーが…っ、

ga26 : あぁ。

ru28 : うっ、ぁ、っ、(言葉にならず泣く)

ga27 : あぁ、あぁ…ルナ、大丈夫だ。大丈夫だ…

 


SE09  足音(小さな)

 

ri01 : ルナ…?
       泣いてる、の?

ga28 : 王女…

ri02 : ガクト…

ru29 : お、うじょ…

ri03 : ルナ、ガクトにいじめられたの?

ru30 : 違いますよ、王女。

ri04 : ……どうして、抱き合ってるの?

ru31 : え、あ、これは…!す、すみません、ガクトさん!

ga29 : いや、こうやって、ルナが俺に身も心も委ねてくれるなんて嬉し、

ri05 : ルナとガクト、結婚するの?

ru32 : え?

ri06 : 2人とも結婚して、私から離れるの?
          ここからいなくなるの?
          私が一番じゃないの?
          私の側にいるんじゃないの?

ru33 : 王女…?

ri07 : ダメよ、ダメよ、ダメよ、ダメよ、ダメ!!

ru34 : 王女!!

ri08 : いやよ、嫌、いや、嫌、いや、イヤ、っ!
          もう誰もいなくならないでッ!!

re94 : 王女っ!

ri09 : レオン!

re95 : 王女はどうしたんですか?

ru35 : 分からないわ…

ri10 : 皆、いなくなるなんて許さないんだから!
          離れるなんて許さないわ!

re96 : 王女っ、大丈夫です、大丈夫…
           私達はずっと王女に仕えます。
          王女のお側にいますからっ。

ri11 : ルナ…ルナ、ルナ、ルナっ!

ru36 : 王女、大丈夫ですわ。大丈夫…

re97 : ルナさん、すみません、王女を部屋までお連れしてもらっても良いですか?

ru37 : ええ、分かったわ。
          王女、お部屋に戻りましょう。

 

SE10  足音

 

ga30 : レオン、おかえり。

re98 : はい、只今戻りました。

ga31 : …王女、やはり相当キてるな…

re99 : あそこまで取り乱すのは初めてですけど…

ga32 : 大丈夫か?

re100: 分かりません…でも、守らなきゃ。
            今度こそ、俺が…

ga33 : ……そうか。

re101: ガクトさん、サリ―はもういません。
            でも、俺には守らなきゃいけない人がいる。
            だから、悲しんでられないんです。泣いてられないんです。

ga34 : …あぁ。

re102: 昔、決めたことがあります。
            俺の信念…王女を…リンアンを、何があっても守る。
            それは、サリ―と決めたことでもあるんです。
            だから、俺は、泣かない。

ga35 : レオン…

ru38 : 無理は、しないでくださいね?

re103: ルナさん…王女は?

ru39 : 寝てますわ。

re104: そうですか…

ru40 : レオン、

re105: はい?

ru41 : サリ―とレオンの約束で王女を守るという信念を貫くなら、
           今度は、私達と約束しましょう。

re106: え?

ru42 : 無理はしないでくださいね。

re107: ルナさん…

ru43 : 王女にはレオンやガクトさんや私や、大勢の城内の者がいます。
           同じようにレオンには私やガクトさんがいるんです。
           だから、一人で無理はしないように。良いですね?

re108: …はい。

ru44 : はい、良いお返事です。

ga36 : ルナ、レオンの姉みたいだな。

ru45 : あら、私は皆のお姉さんですわよ。

ga37 : それじゃあ、俺はお兄さんかな?

re109: いや、ガクトさんはペットかと…

ga38 : 何だそれ!

re110: 扱いにくいのか扱いやすいのかよく分からないんで。

ga39 : レオン!

re111: あはは、冗談ですよ、冗談。

 


re112: 大丈夫、大丈夫。
            俺には、この2人がいる。
            王女には俺達3人がいる。
            だから大丈夫だ。

 

 


ENDING